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はじめてのシール印刷~凸版印刷編~

更新日:8月22日


「ラベル印刷を業者に頼みたいが、色々な印刷の種類があってよくわからない」「要求水準に対してどの印刷方法が適正かわからない」…こんなお悩みはございませんでしょうか。

今回は機械の警告・操作表示ラベルや日用雑貨、食品のパッケージラベルなどに採用されることの多いシール印刷の中でも代表的な方式である凸版印刷について解説します。



   【目次】   


凸版印刷とは

凸版印刷はその名の通り版の盛り上がった箇所にインクを付着させ、素材に押し付けることで印刷します。はんこと同じ原理ですので、印刷の仕組みが想像しやすいかもしれません。

凸版印刷はシール印刷(シーリング印刷)の一種でもあります。シール印刷には凸版印刷のほかに代表的なものとしてオフセット印刷、デジタル印刷などが含まれています。

凸版印刷機はセッティングや機械のカスタムによって、生産ライン上に抜き加工(成型加工の一種)やカス上げ(抜いた後の余剰部分を剥がす工程)、箔押し(箔を素材へ転写する工程)やエンボス加工(素材に浮き出し加工をほどこす工程)などを加えることができます。

多種多様な工程をラインに組み込んで対応できるため印刷前準備に時間がかかりますが、一度製造を開始するとワンストップで製作できるという特徴があり、まとまった数の製造に向いています。



印刷機械について

当社では以下2種の凸版印刷機械にて製作しております。

各印刷機械の特徴をご紹介いたします。


平圧印刷機

ロール状の素材と凸版と呼ばれる平らな版を印刷機械にセットし、凸版にインクを付着させたのちに素材に押し付けることで、はんこと同様の要領で印刷が行われます。

印刷後は自動で素材が送られ、凸版にインクを付着→印刷→送りと動作を繰り返します。

凸版に直接インクを付着させ押し付けて印刷する性質上、デザインによっては色むらやかすれが発生しやすいほか、一度に印刷できる色数が1~3色と少ないため、単色・シンプルなデザインのラベルステッカーの印刷を得意としています。




間欠輪転機

凸版を円筒状のシリンダーにセットし、ロール状の素材を送りながらシリンダーを転がすように回転させることでシリンダー1周につき1回印刷が行われます。素材の流れが一方向ですとシリンダーの円周分余白が生まれてしまうため、印刷後に余白分素材を後退させ、素材に無駄がでないように印刷します。色数も1~5色と平圧印刷機に比べて多色表現が可能です。





凸版印刷の流れ

①デザイン作成

→印刷したい文字や図柄をデータで作成します。


②版下データ作成

→①のデータから印刷用のデータ(版下データ)を作成します。


③製版・抜型製作

→凸版印刷ではゼンマイ刃と呼ばれる抜き型を使用します。

抜き型


④材料準備

→一般的には200~400巻のロール材を使用します。



⑤印刷

→お客様のご希望にあわせて印刷、抜き加工などを行います。


⑥(必要に応じて)後加工

→貼り付け時の利便性のための裏スリット加工など、生産ライン内で行えない成型加工を行います。


⑦品質検査

→当社の認定検査員による品質検査が行われます。



凸版印刷の特徴

コストが割安

シール印刷は印刷機械の特性上、印刷~抜き加工~後加工(一部)がワンストップで行えます。

印刷前準備に時間がかかる一方、製造を始めると多くの工程がライン上で完結するため、まとまった数の製造に向いています。

印刷しか行えずその他の加工に人手が割かれるシルクスクリーン印刷やインクジェット印刷と比べると、製造に要する時間が少なくなるため、価格を抑えやすい強みがあります。


短納期

上述と同様の理由で、他の印刷方式と比較して工程が少ないため製作日数をおさえることもできます。


上記のような強みがある一方で、凸版印刷方式を採用する際には注意が必要な点もあります。


細かい線の表現が苦手

圧力をかけて印刷するため、細かい文字や柄は潰れてしまうことがあります。

また、ロール状の材料を送りながら印刷していくため、静電気や摩擦の影響で印刷タイミングと素材位置が合わず印刷にズレが起きることもあり、厳密な柄合わせを要求される場合には技術を要します。


製版に時間や費用がかかる

凸版印刷は特性上製版の工程が発生します。インクジェット印刷のような無版印刷と比較すると、校正後すぐには印刷に取りかかれず製版を行う時間が必要となる点、リピート注文の際に版が劣化して再製版(再版)が必要になる可能性がある点には注意が必要です。



他の印刷方法との使い分け

当社で見積もりをする場合はお客様の細かなニーズをヒアリングし、可能な限りお客様のご希望がかなえられる方法にて見積もり算出をしております。そのため一概には断言しかねますが、おおよそ以下の基準でシルクスクリーン印刷・インクジェット印刷との使い分けをご提案しております。


シルクスクリーン印刷


長期間貼付する場合や過酷な屋外で使用する場合は、当社の印刷方法で最も耐候性に優れているシルクスクリーン印刷が採用されることが多いです。看板といった屋外表示物、または車両用ラッピングなど、コーポレートカラーや企業ロゴといった厳密な色合わせが要求される中型~大型の印刷物のご要望には、一色ごとに色を調整(調色)ができるシルクスクリーン印刷を検討します。

他にも、隠蔽性を求められる印刷物の場合にシルクスクリーン印刷をお勧めしています。たとえば、電車の優先席表示のように、窓に貼付された状態でガラス面の内側と外側どちらから見ても印刷内容がわかり、かつ透けない(印刷物を太陽光が通って可読性を損なわない)ような仕様を求められる場合、シルクスクリーン印刷をお勧めしています。


参考記事


デジタル印刷(インクジェット印刷)


写真に代表されるようなグラデーションが多い画像や色数が多く複雑な表現の場合はデジタル印刷(インクジェット印刷)をお勧めしています。というのも、凸版印刷や、シルクスクリーン印刷はCMYKの多色表現やグラデーション表現に不向きなためです。

また、凸版印刷やシルクスクリーン印刷での印刷限界サイズを超過する場合や大型の看板など分割出力して貼り合わせが必要な場合は印刷可能範囲の広いインクジェット印刷をお勧めしています。

他には、少量注文でシルクスクリーン印刷が割高になる場合にインクジェット印刷を選定することもあります。

インクジェット印刷は印刷版が不要な方式のため少量注文時に費用面の負担になりやすい製版代が発生しません。そのためご希望仕様や用途によってはシルクスクリーン印刷ではなくインクジェット印刷をお勧めする場合があります。


参考記事


もちろん上記の凸版印刷・インクジェット印刷・シルクスクリーン印刷以外にも、用途やデザイン、製作枚数に応じてオフセット印刷やインクジェット印刷以外のデジタル方式などお客様のご要望もあわせて適宜選定、提案しています。




まとめ

凸版印刷の最大の特徴は他の印刷方法と比較して価格や製作日数を抑えやすい点にあります。

一方で印刷の特性上細かすぎる内容は印刷できないことについて注意が必要です。メリットデメリットを鑑み、最適な印刷方法で製作することが重要です。

当社では各業界で定められている規制や基準に対応した物質調査、証明書類の発行にも対応しておりますので、お客様のご希望、規制の要件を加味して最適な仕様をご提案いたします。「こんな仕様で製作可能か」「こんなイメージのものを作りたい」などお気軽にご質問くださいませ。


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