印刷物が納品され確認してみると、イメージと色が違う!いまさら最初からやりなおし⁉……そんな事態を防ぐために、印刷には色校正という工程があります。
本ブログでは色校正とは何か、色校正を行うメリット、色校正の流れをご紹介するとともに、実際の色校正で色を確認する際の注意点も解説いたします。
目次
色校正とはなにか
色校正(いろこうせい)とは、製品の印刷を実際に行う前に、イメージに近い状態で再現できるかどうかを試し刷りで検証する作業です。色校と呼ばれる場合もあります。色校正で仕上がりを確認した際、印刷物の色がイメージと異なる場合は調整を行います。
色は言葉では伝えられない情報を伝えます。色を確認する工程である色校正は、印刷物の品質を確保するための重要なプロセスといえるでしょう。
なぜ色校正が必要か
一見すると、わざわざ色校正を行わなくてもお客様と印刷企業の間で色の情報は伝達できそうにも思えます。それでは、なぜ色校正が必要なのでしょうか。
モニターと印刷物の色味の違い
モニターはRGB、印刷物はCMYKと色の表現方法が違うため見え方が異なります。
また、同じデータであっても各PCの発色やモニターの劣化具合によって色の見え方が異なるため、モニターで見えている情報のみで色の認識をそろえることは非常に困難です。
参考記事
色の認識のすり合わせ
ロイヤルブルー、ウルトラマリンブルー、ターコイズブルー……青とひとくちに言っても人によってイメージする色は異なります。色校正を行い、イメージ通り正確に色を再現することでブランドイメージや商品の魅力が正しく伝わる印刷物が出来上がります。
また本番と同様の材料に印刷することで最終的な色イメージを正しく共有することができます。
たとえば全く同じ条件で印刷しても表面加工が異なると色が変わってしまいますし、印刷方法や機械、材料によって色が変わって見える場合もあります。
量産を始める前に実際の材料に印刷し色の認識をすり合わせることで、量産後のイメージ相違による刷り直しリスクを軽減できます。
色校正の流れ
当社の場合、色校正はご注文を承った(以下図③)あと、製品製作前に行います。
色校正の当社での流れは以下の通りです。
①色見本をご支給いただく
ご希望イメージの色の現物を色見本としてご支給いただきます。色見本は別名カラーターゲットとも呼ばれます。
色見本には原則実物をご用意いただき、より厳密に色校正を行う場合は光源をご指定ください。(屋外使用製品の場合に屋外での色確認を指定するなど)ほかにもDIC社やPantone社が出版している色見本現物(カラーチップ)でも対応可能です。色見本は当社にご支給いただく1枚のほか、③で色校正用サンプルと見比べる分1枚の少なくとも計2枚が必要です。
また、色見本現物がなく色見本帳の色番号指定のみの場合でも色の調整は可能ですが、ある程度の色ブレをご容認いただく必要がございます。
といいますのも、色見本帳は発刊年度によって色が異なる場合があるほか、色見本帳の保管状況によってはカラーチップの変色リスクもあり、弊社保管の色見本帳と色が異なる可能性があるためです。
なお印刷方法によってはCMYK値のご指定のみでも印刷自体は可能です。ただし、同じCMYK値を指定しても材料・印刷機・インクなどの諸条件で発色が異なります。色を重視される場合は可能な限り見本とする色の現物のご用意をお願いいたします。
②色見本を参考に色を調整、色校正用サンプルを作成
ご支給いただいた色見本を参考に色の調整を行います。
調整後、当社保管分とお客様確認分、お客様保管分の計3枚色校正用サンプルを作成いたします。
③色校正用サンプルを確認
お客様確認分とお客様保管分の2枚、色校正用サンプルを送付いたします。
①の色見本と②の色校正用サンプルを比較し色を確認します。
なお、この工程にて色が異なる場合は再度調整いたします。お気づきの点がございましたらお知らせくださいませ。
④校了
①の色見本と③の色校正用サンプルを比較いただき、色校正用サンプルの色にて問題ない場合は校了の工程へ進みます。
校了時には色校正用サンプル2枚にそれぞれ校了年月日と署名をご記入いただき、うち1枚を当社にご返送くださいませ。あわせて校了の旨をメールにてご連絡いただけますと幸いです。
返送いただいた色校正用サンプルは当社の正式な色見本として使用・保管いたします。
⑤量産
当社では製造時、お客様では納品物受け入れ時に色校正用サンプルと量産製品の色確認を行います。
この工程で色に相違がないことが確認できたら色校正は完了です。
色校正の際の注意点
色校正用サンプルと色見本を確認する際には以下の点にご注意ください。
事前に合意した色見本現物と見比べる
色校正用サンプルはご支給の色見本に合わせて調色いたします。
色見本は最後までご変更なさらないようご注意ください。
製品使用場所と同じ光源で色を比較する
室内蛍光灯の下と屋外では色の見え方が異なります。色を比較する際は、製品使用場所と同じ、または近い環境(光源)で確認をお願いいたします。
色見本と色校正用サンプルは真横に置いて見比べる
記憶ではなく現物同士を比較いただきますようお願いいたします。
まとめ
色はデザインにおいて非常に重要な位置を占めていますが、同じ色であってもイメージする内容は人によって異なります。印刷物をイメージ通りに製作しステッカーシールをより効果的にご使用いただくためにも、色の認識をそろえる色校正は非常に重要です。
色校正や調色に関してご不明点がおありの場合はぜひご相談いただけますと幸いです。