
熱転写という印刷技術を皆様はご存じでしょうか。
熱転写とは熱転写用のフィルムにデザインをプリントし、熱圧着で布地などに転写し貼り付ける手法を指します。主に衣類やトートバッグなど、グッズやノベルティを製作する際に使われている手法であり、印刷が鮮やかで表現が豊かなこと、版なしで印刷できるため少量でも製作しやすいことから、近年注目を集めている印刷方法でもあります。
今回はセルカム株式会社様にて、熱転写プリントの中でも新しい印刷手法であるDTFプリントの最新機種をご紹介いただきましたので、本記事にて体験会の模様をレポートいたします。
セルカム株式会社様について
体験会にご招待いただいたセルカム株式会社様は、大阪に本社を持つ、印刷機器・印刷周辺機器・資材を販売されている専門商社です。1988年の創業以来「お客様のニーズにお応えするプロ集団」としてお客様の課題やお悩みを解決するサービスを提供していらっしゃいます。
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DTFプリントとは
DTFプリントとは、「Direct To Film」の略であり、近年注目を集めている熱転写プリント技術を指します。
DTFプリントは、専用のインクジェットプリンターを用いフィルムに水性顔料インクで反転印刷をし、更にパウダー状の糊を塗布、インクと糊を硬化させた転写シートを製作する点が特徴的です。
従来の熱転写印刷(溶融型熱転写)では予め糊が塗布されているシートに印刷して転写シートにするため、印刷されていない箇所の糊を別途除去する必要がありましたが、DTFプリントは印刷された箇所にのみ糊を塗布するため、工程数を削減できるほか、糊を無駄にせずコスト面を抑えられるメリットもあります。
素材に転写シートを熱プレス機で圧着することで印刷が行われる点は従来の熱転写と変わりません。
企業によってはDTF転写プリントやフルカラー転写プリントと呼ぶ場合もあります。
写真に代表されるようなグラデーションのある色表現や細かい文字も印刷可能で、他の印刷方法ではプリントできないポリエステルやナイロンなど幅広い素材にもプリントできます。
また、データをもとに直接印刷を行うため印刷版が不要であり、初期費用が安く抑えられるため小ロット製作の際にも負担が少ないといったメリットもあります。

TY-300
そんな新しい印刷技術であるDTFプリントの中において、Roland社TY-300は最新機種にあたります。(2024年9月25日発売)
強みはバランスの良さ。実用モードで10.9㎡/h以上も印刷でき、さらに最新のクリーニングシーケンスに基づいた自動クリーニングで最適な出力環境をサポート。高い印刷品質と生産性を誇りながらも価格が抑えられており、コストパフォーマンスに優れた1台です。
参考記事(外部サイト)

SELSHAKE-PRO800
DTFプリントは出力後にパウダー(糊)を塗布し硬化させることで、転写シートとして使えるようになります。
もちろん手作業でパウダーを塗布し硬化させることもできますが、手間であるうえにパウダーが均一に塗布されていないと接着不良などの不具合の原因につながるため、糊の塗布と硬化には専用のDTFシェーカーが必要です。
SELSHAKE-PRO800は、Roland社TY-300との相性が良いDTF用パウダー塗布・硬化機械です。
高速プリントにも対応しているためTY-300の高い生産性を損なわないほか、パウダーコントロール設計でパウダーのロスを効果的に防ぎ生産性向上に寄与します。

実際の印刷風景
それではTY-300とSELSHAKE-PRO800の実際の印刷の様子をご覧ください。
従来の熱転写印刷(溶融型熱転写)では転写する素材ごとに材料を変更しなければならなかったところ、DTFプリントは糊付けまで一貫して行うことから準備する材料の種類数が抑えられる点、DTFプリント最新機種のTY-300であれば廃インクをさらに減らしメンテナンスコストを抑えられるといった点などから、DTFプリントの製品は価格に抑えることができるでしょう。また、布素材への印刷の価格が下がることで、企業だけではなく一般の趣味としてDTFプリントが普及するなど経済的効果も予想されます。
布素材への印刷技術の進歩から今後も目が離せません。
まとめ
布素材への印刷はDTFプリントはもちろんのこと、シルク印刷やガーメントプリントなど、ニーズに合わせて多種多様な選択肢があります。
「小ロットで印刷したいが初期費用は抑えたい」「色数は減らしてもよいので印刷の耐久性を第一に考えたい」「とにかく色彩鮮やかなデザインにしたい」など、山王テクノアーツではご要望やお悩みに寄り添ったご提案が可能です。
印刷に関してどの企業に問い合わせをするべきかお悩みの場合は、ぜひ当社にご相談ください。

